描ける幸せ

私は、オイルパステルでアナログ日記を描いている。その日あったことを思い出し、その時の感情を描き出すのだ。
数か月前にさかのぼる。臨床美術士のアートプログラムに参加し『空』を描いた。その時に初めてオイルパステルに出会った。柔らかく、力をいれなくても伸びが良い。もちろん力を入れて描くこともできるし、線や点、さらに短く折ったものを横に寝かせて、側面を使って描くこともできる。色を重ね合わせたり、指でこすったりしながら、様々な表情が生まれるのも魅力だ。このパステルで、自分の好きな空を思いのまま描いた。
私と空。描くことだけに集中していた。そして、子供の頃に絵を描くのが好きだったことを思い出し、没頭して描いていた時の感覚と似ていることに気が付いた。
私は、いつの頃からか、絵を描くのが嫌いになり、描かなくなった。素直に描くことより、上手く描きたいという思いと、思うように描けないことへの葛藤。そして、周りの目や評価が気になったからだと思う。
しかし、空を描いたとき、描くことの楽しさを思い出した。

今日一日を振り返り、その時の出来事と感情を思い出しながら、パステルで表現していく。言葉を必要としない感情表現。そこに上手い下手はない。ただひたすら、感じたままを描きだす。そして、作品を評価しないという所に惹かれた。時々、上手く描きたいという欲求が出てくるが、色を重ねていった時に偶然出会う色合いや、タッチに驚きながら、表情の変化に集中していく。そして、これでよいと思う瞬間で手を止める。
完成より、描く過程に面白さがある。
今日も、一日を振り返りながら、ありのままを描いていった。
