カールと私


彼女の名前は、ヴェンテカール。
鼻から口にかけて、黒い斑点模様が特徴の白い馬だ。カールに乗るのは、今回で3回目。

カールに初めて乗った日の事。
放牧中や馬房にいるときに、なかなかナデナデをさせてくれないのと(ただ単に私の接し方がよくなかったのだと思うが…)気が強そうな馬という印象があったため、乗るのが不安だった。おそるおそる近寄ってみた。お互いに様子をうかがっていた。しばらくして、自分の手をカールの鼻先に近づけてみると、じゃれるようにカミカミしてきた。
これはいけそうだな…と思った。
屋内の練習場に入り、カールの背中に乗った。常歩から正反動、軽速歩へ。指導員の方の声掛けで、駈歩の合図を出してみた。反応が良く、スムーズに走ってくれた。
「この馬だ。」
指導員の方からも、大丈夫そうだ、と言われ、カールと私だけで練習に臨んだ。これまでに乗った馬とは感触が違った。ふんわりと駈歩で走ってくれた時は最高だった。
牝馬に乗るのは初めてだったし、以前から女の子の馬に乗りたいと望んでいた私の思いを受け止めるかのように、カールは身軽に、そして気高く美しく走ってくれた。息がぴったりだった。
可愛さと愛情が込み上げ、金色のたてがみを見ながら、カールの背中をなでなでした。カールは自分の背中に乗っている私を、首を斜めにしながら、じっと見ていた。

カールと私は、仲良くなった。
彼女と私のこれからがはじまる。