言葉

久しぶりに、以前、職場でお世話になった方から電話がかかってきた。
一緒に仕事をさせてもらっていた時に、彼女は「菊池さんは美容系も合っていると思うよ。」と言ってくれて、私が現在受講しているビューティータッチセラピーをすすめてくれた人だ。
私は、化粧にこだわるほうではないし、美容系の仕事はまったく興味がなかった。だが、彼女に言われたからだろうか。その気になってしまい、受講に至っている。

彼女は、今、大変な状況にいるようだった。
「人生長く生きても、人に傷つけられることがある。人生、修行だと思っている。」と言った。

彼女は、傷ついた時、そのことを言葉で率直に伝えることができる人だ。
仕事上では、なかなか、感情を伝えることは難しいと思うが、それでも、相手が誰であろうと、向きあっている人の言動を否定することなく、自分の疑問や感情を冷静に話す彼女の姿勢は、すごいなと思う。

彼女は自分の近況を話し「まあ、でも、みんなのことが幸せになるように祈っていてちょうだい。」と言って、長い電話を終えた。

そのあと、先日、海外出身の友人に言われた言葉がよみがえった。
「嫌な感情を綺麗な言葉で話すこと。本当の気持ちを適切な言葉を探して伝えること。嫌なことや疑問に思ったことは聞けばよい。だから言葉がある。」

電話を切ったあと、しばらくの間、ふわっとした優しい余韻が心に残った。