弱さ
必死で自分の居場所を求めて、もがいていた。自分には何が足りないのか、どうやったら社会で生き抜けるのか、認めてもらえるのか。
学生の時や、若い頃はそんなことを考えもしなかったが、ふと周りを見ると、技術や資格を身に付け、自分のできることで、社会に貢献していた。
何もない自分は劣等感しかなかった。自分は何の資格もなく、特技や人に言えるものなんて持ち合わせていなかった。
人と比べることしかせず、努力もしてこなかった。
自分が取り残されたように感じた。何もみつからないまま、冷めた目で世の中を見るようになり、生きることが窮屈になっていった。
自分の価値なんて、何一つないように思えた。
「私」を見てくれる人に出会った。
その時、初めて今の自分でいいと思えた。
私を見る時のまなざしや、語りかける言葉がそう感じさせた。
その人には、静けさの中で、じっと自分の中の孤独と向き合う時間があり、時には弱さを隠さず見せることもあった。
その佇まいが、かたくなになっていた私の心を溶かしていった。
私は、その人の、ありのまま生きる姿に、心を大きく揺さぶられた。
そして、その人は、どんな人に対しても、ありのままの相手を見、ありのままを受け入れていた。

「弱い自分、足りない所、完璧でない所、自分の好きでない所、自分の影、人に対して見せたくない所、逃げたい所。それを受け入れながら生きていく。むしろ、それがあるからこそ成長できる。」
弱い自分と共に生きていい。
その姿が、時には他の人への励ましになることもある。
一見、何も持っていないように見える人でも、同じかけがえなのない命であること。
自分も人と関わる時に、そのことを大切にしていきたいと思う。
